朝鮮動乱のため、ニッケル相場騰貴不発行になった硬貨。製造期間は昭和25・26年のみ。
洋銀は銀ではないが銀色を呈しており、銀の代用として装飾品や食器などに使われるものであり、貨幣の素材としては世界でもあまり例のないもので、本邦でも初めての試みであった。図案は表面茶の花の枝を向かい合わせたもの、裏面は鉄線模様という、今までにまったく例をみない題材のものであった。
ところが発行を前にしてこの年の6月に勃発した朝鮮戦争のため、諸地金とくにニッケルの地金が急騰し、発行できなくなってしまった。本貨は昭和25年、26年両記年のものがあり、製造が翌年まで続けられたのであるが、結局は発行されずに終わった。
そのため、資料用として残された分以外は全て溶解処分されたことで、非常に希少性の高いコインとなっている。
ちなみに、昭和24年4月制定の「当用漢字字体表」により「國」字は「国」字とすべきであったが、原型が早くも出来上がっていたために、旧字体に依って造られている。
直径 20㎜
品位 ニッケル160-180/銅550-600/亜鉛220-290
量目 2.79g
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